アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

 先日の金曜日、在宅医療関係でアドバンス・ケア・プランニング(ACP)についての研修会がありました。ACPの定義は「将来の意思決定能力の低下に備えて、患者やそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合うことの過程(プランニング)」とされています。この話し合いには、“もしもの時”に、自分がどんな治療を受けたいか、または受けたくないか、そして自分の価値観などを、前もって大切な人達と話し合っておく、その一部始終が含まれています。

 ここまで読んで、『なんだ、今のうちに遺言状を準備しておくように』という話かと思った方がいるかもしれません。確かに遺言状の作成もACPの一部ではあります。しかしながら、ACPと遺言状作成には大きく異なる点があります。それは、ACPは一人ではできない、ということです。つまり、話し合いには相手が必要ということなのです。当たり前のようですが、この話し合いが実は難しいのです。

 患者が望めば、家族や友人とともに行われます。患者の同意のもと、話し合いの結果が記述され、定期的に見直され、ケアにかかわる人々の間で共有されることが望ましいとされています。ACPは患者が最も大切にしていることに基づいて意思決定ができるように、医学的ケアの全体としての目標が何かに焦点を当てる必要があります。また、患者が自ら意思決定ができなくなったときに備えて、患者に成り代わって意思決定を行う信用できる人(人々)を選定することにも焦点が当てられます。

 女優の樹木希林さんが、以前新聞広告で「死ぬときぐらい好きにさせてよ」と〝終活宣言〟しました。洋画家の名作と重ね合わせた美しいビジュアルと、「死」をテーマにした衝撃的なキャッチコピーに、ネットなどで生死を考える書き込みが相次ぎました。キャッチコピーの下に次ぎの言葉が添えられています。<人は必ず死ぬというのに。長生きを叶える技術ばかりが進歩して、なんとまあ死ににくい時代になったことでしょう。死を疎むことなく、死を焦ることもなく。ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思うのです。人は死ねば宇宙の塵芥。せめて美しく輝く塵になりたい。それが、私の最後の欲なのです。> さて、医療従事者はこのメッセージをどう捉えるのでしょうか......?

 

 

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