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野分

 台風21号は、非常に強い勢力を保ったまま、日本列島を縦断していきました。猛烈な風、猛烈な雨となり、暴風、高波、土砂災害、河川の増水、高潮による浸水など、さまざまな被害をもたらしました。

 俳句の季語に野分という言葉があります。「野を分ける風」それが野分なのですが、ただ単に強風や台風を野分と言ったわけではありません。野分とは、「二百十日」と呼ばれる頃に吹く強風や台風に対する昔の呼び方なのです。

 二百十日は立春より数えて210日目のことをいい、現在の9月1日頃になります。この時期は農家にとって収穫前の非常に大事な時なのですが、野分というその美しい言葉の響きとは裏腹に、農作物に被害をもたらす厄介な存在という意味合いのほうが大きかったのかもしれません。

 野分は秋の代表的な季語ですが、「野分」の代わりに「台風」という現代の言葉が使われることもあります。しかし「台風」という言葉には、それほど季節感のようなものを感じづらいし、言葉としての美しさも見出すこともできません。時には農作物に被害をもたらすような強風に対しても、野分という美しい音の響きで季節感さえも感じさせるような昔の日本人の自然に対する感受性、言葉に対する美意識には本当に驚かされます。今回の台風はちょとやり過ぎ感が否めませんが.....。

 

 

 

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