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俳人の金子兜太さん死去

 俳句界に新風を吹き込み、90歳を過ぎても現役で活躍し続けた現代俳句協会名誉会長の金子兜太(かねこ・とうた)さんが2月20日、誤嚥性肺炎による急性呼吸促迫症候群のため死去した。

  父親は開業医で俳人でもあった。経歴を調べると、東京帝国大経済学部を卒業後、日本銀行に入行。海軍士官として南洋トラック島で終戦を迎え、後に復職した。戦後は社会的な題材を詠む「社会性俳句」に取り組んだ。季語の重要性は認めつつも、季語のない無季の句も積極的に詠み、俳句をより多くの人に開かれたものにし、「お~いお茶 新俳句大賞」など軽くカジュアルな新潮流も楽しんだ。小生が参加する句会でも、師事する俳人は多い。

 敗戦後、島を去る時のことを詠んだ<水脈(みお)の果て炎天の墓碑を置きて去る>は代表句となった。 戦場の現実を知る者として生涯、平和の大切さを訴え続けた。15年に安保関連法案の反対運動が盛り上がった時には、プラカードの「アベ政治を許さない」というメッセージ文字を揮毫して話題になった。

 金子さんの著書に「他界」がある。壮絶な戦争体験や、92歳でのガン手術の克服などの体験を通して、「いのちは死なない」という実感を持つに至りました。他界では自分の親しい人が待っている。その交信を「立禅(立ちながら親しい人の名前を100人以上呼んで唱える)」を毎日して行っていた。その親しい人が待っていて、いつか自分が行く世界についての考え方を金子さんは「他界説」と名付けました。98歳まで生きた人の言葉の重みが、生老病死に思い悩む多くの読者の心に響く一冊です。「他界」は忘れ得ぬ記憶、故郷――。なにも怖がることはない。あの世には懐かしい人たちが待っているのだから.........。

 



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